㐂日は日本、沖縄の宮古島に拠点を置くスタジオです。
論理的思考をもとに未知なるものの可能性を視野に入れ、地続きの
新たな価値(ストーリー)の在り方を様々な媒体にて思索します。
㐂日について
㐂日は〈美〉のある状態に着目し、それらを多く拾い上げ、深め、慈しみ、
また自発的に形成されゆく循環を形作ることが本旨です。
これは単に美しい状態、また肉眼で捉えられる美的なものにも限りません。
ここで指し示す美は、人間の本能として精神的に正しい状態を差し、倫理性を超えていくものです。
しかし表現という手段で捉えようとするほどにそれらは失われ、
直接的に表し得ないという前提を発端としています。
それでも作ることはまさに存在しているものを見るためであり、
それらはひとつのものとして独立し、何者にも侵されず調和を築いています。
平常に生を認め合えれば、無さえも不自然でなく存在でき、
また在るべきところに収まっていくものだと思っています。
言葉について
写真について
デザインについて
㐂日(きび)とは
「喜」の草書体*1である「㐂」に「日」を加えた造語。
「㐂」は、発起人の名や祝言葉、関連する古典などを参照し繋げることで
度々身の回りに現れた語であったこと。また「㐂」を構成する「七」は
大字*2で「質」とも書くことから、質を備えた喜ばしい日という
意味合いを持たせています。
㐂日のロゴタイプ
文字が意味するものとその形態は特定の文化領域を持っています。
それらがどこから来るのか、どう進化していくのかを考えるにあたって、
「文化領域を横断して文字を筆記すること」に注目し、
ある日左利きの手で線を何度も書いていました。
その線が文字と認識できるか否かの境を揺れ動くとき、
形態が持つ記号としての機能が抽象化され、
とても自由な表れになったかのように思えました。
しかしまだどこかに手わざの痕跡が残り、
亡霊のような意思に縛られているようにも見えました。
そこで、かつてダ・ヴィンチが鏡文字を使用したように*3
文字を反転してみたところ、
より自由な形態になったように思えました。
このロゴはデザインの根源である意思の伝達、表現を象徴した形です。
しかしそこに確かな私たちの意思はありながらも手から離れていく矛盾した構造があります。
人は0か1かでものごとを決めきれない生きものです。
私たちはその性来を良いこととして礼賛する思いを傍らに、
日々ものを形作ることに向き合っています。
- *1:字画を簡略化した形態で、楷書の前に存在した書体。
- *2:改竄を防ぐための画数の多い漢数字。一は大字で壱と書く。
- *3 : レオナルド・ダ・ヴィンチは手稿をすべて鏡文字で書いた。
KIBI
Tomonori Koyama