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経験と還元

意識問題に取り組むデイヴィッド・チャーマーズは、経験についての事実は物理的理論からの自動的な帰結になりえず、経験が物理的なものから生じても、物理的なものからは説明されないという。

例えば倫理学が人間の経験の集合である膨大な歴史や社会学を参照してある帰結にたどり着いたとしても、それは脳科学的に集約されるわけではないということでもある。

人は理解するために科学を都合よく利用し還元しようとする。ただし科学は人の生きる道筋を十分に示すわけではない。ましてそれが量子プロセスのような非決定性/非局所性を持つものであったり、非アルゴリズム、非線形ダイナミクス、カオスダイナミクスなどの一般的に単純でない理論であっても。

理解する=わかる、ということは特定のモデルに体系付け収めることである。それは決断し漸進のためにそれ以上の接続を拒むことである。離散無限の生産というバーチャルな概念のために、私達は結論づけることを迫られる。一方粘り強い停滞は肥沃な土壌を生むかもしれない。

だから決定的で象徴的なことを高らかに宣言し、考えることを放棄するような人間は信用するに足らない。この視点を持ちさえすれば誰を信じるべきかは明らかになるだろう。