JOURNAL
対応の速度–
難解な書物や概念は、「〜とは?」という疑問の答えとして数行で指し示すことができない。それを同時的に追体験することでしか実感できないもの、というのがある。
人は「理解」というものを、すぐ簡略化して腑に落ちる形で変換することだと思っている。
ミラン・クンデラは、人が現実の重みを直に受け取れないがゆえの防御として、紋切り型の偽り=キッチュを思考停止で受け入れてしまうことを語る。
複雑なものを効率よく取得する、そのためのテクノロジー等は、人間生活の重大さを失わせ、その存在を耐えられないほど軽いものにしてしまう。